2024/10/01
窓ガラスの断熱性能は、住まいの快適性や省エネに大きく影響します。
特に冬場の寒さ対策や結露防止には、適切な断熱性能を持つ窓ガラスを選ぶことが重要です。
しかし、窓ガラスの断熱性能について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、窓ガラスの断熱性能を示す指標である「熱貫流率」について解説します。
目次
熱貫流率とは?
窓ガラスの断熱性能を評価する指標として、最も重要なのが「熱貫流率」です。
熱貫流率とは、窓ガラス1平方メートルあたり、室内と室外の温度差が1℃の場合に、1時間にどれだけの熱量が通過するかを示す数値です。
熱貫流率の値が低いほど、熱の移動が少なくなり、窓ガラスの断熱性能が高いことを意味します。
つまり、熱貫流率が低い窓ガラスは、冬は暖気を逃がさず、夏は涼しい室内を保つのに役立ちます。
また、熱貫流率が低い窓ガラスは結露が発生しにくいため、窓周りのカビやダニの発生を抑え、住まいの健康にも良い影響を与えます。
1: 熱貫流率の値が低いほど断熱性能が高い
熱貫流率の値が低いほど、窓ガラスの断熱性能が高く、室内の温度を安定させられます。
例えば、熱貫流率が1平方メートルあたり3.0W/Kの窓ガラスと、1.5W/Kの窓ガラスを比較した場合、1.5W/Kの窓ガラスの方が断熱性能が高く、冬は暖かく、夏は涼しい室内を実現できます。
2: 熱貫流率は結露対策にも重要
熱貫流率は、窓ガラスの結露対策にも重要な指標です。
窓ガラスの表面温度が室温より低くなると、空気中の水分が水滴となって結露が発生します。
熱貫流率が低い窓ガラスは、室内の熱が外に逃げるのを防ぐため、窓ガラスの表面温度が室温に近くなり、結露しにくくなります。
ガラスの種類別の熱貫流率
様々な種類の窓ガラスには、それぞれ異なる熱貫流率があります。
ここでは、一般的な窓ガラスの種類別に熱貫流率の値を比較し、それぞれの性能の違いについて解説します。
1: フロート板ガラス
フロート板ガラスは、一般的な窓ガラスで、一枚のガラスで構成されています。
熱貫流率は1平方メートルあたり約6.0W/Kと、他のガラスの種類に比べて高い値です。
そのため、断熱性能が低く、冬は寒く、夏は暑くなりやすいという特徴があります。
2: 複層ガラス
複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気層を挟んだ構造のガラスです。
空気層は、ガラスよりも熱伝導率が低いため、熱の移動を抑制し、断熱性能を高めます。
複層ガラスの熱貫流率は1平方メートルあたり約3.4W/Kと、フロート板ガラスの半分ほどです。
フロート板ガラスに比べて断熱性能が高く、冬は暖かく、夏は涼しい室内を実現できます。
3: Low-E複層ガラス
Low-E複層ガラスは、複層ガラスの一種で、ガラス表面に特殊な金属膜をコーティングしたものです。
この金属膜は、赤外線を反射する性質を持っており、室内の熱を逃がすのを防ぎます。
Low-E複層ガラスの熱貫流率は1平方メートルあたり約2.5~2.7W/Kと、複層ガラスよりもさらに断熱性能が高いです。
特に冬場の暖房効率を高める効果が期待できます。
4: アルゴンガス入りLow-E複層ガラス
アルゴンガス入りLow-E複層ガラスは、Low-E複層ガラスの空気層にアルゴンガスを充填したものです。
アルゴンガスは空気よりも熱伝導率が低いため、さらに断熱性能を高められます。
アルゴンガス入りLow-E複層ガラスの熱貫流率は1平方メートルあたり約2.1~2.3W/Kと、Low-E複層ガラスよりもさらに断熱性能が高く、冬場の寒さ対策に最適です。
5: 真空ガラス
真空ガラスは、複層ガラスの空気層を真空状態にしたガラスです。
真空状態では熱伝導がほとんど起こらないため、非常に高い断熱性能を実現できます。
真空ガラスの熱貫流率は1平方メートルあたり約1.0~1.4W/Kと、他のガラスの種類に比べて圧倒的に低く、冬場の暖房効率を大幅に向上させられます。
まとめ
窓ガラスの断熱性能は、熱貫流率という指標で評価されます。
熱貫流率の値が低いほど、断熱性能が高く、冬は暖かく、夏は涼しい快適な室内を実現できます。
また、結露の発生を抑え、住まいの健康にも良い影響を与えます。
様々な種類の窓ガラスには、それぞれ異なる熱貫流率があり、性能も異なります。
ご自身のニーズに合わせて、最適な窓ガラスを選んでください。