2025/05/13

高齢化社会の日本において、住まいのリフォームは、快適な老後生活を送る上で欠かせないものとなっています。
特に、間取りは生活の質を大きく左右する重要な要素です。
今回は、高齢者向けリフォームにおける間取りの工夫について、具体的な例を交えながら解説します。
玄関、水回り、寝室など、各部屋のリフォームポイントや費用相場、そして活用できる補助金制度についてもご紹介します。
高齢者の方々やそのご家族にとって、少しでも参考になれば幸いです。

高齢者向けリフォームの間取りを考えるポイント

スムーズな出入りと安全性の確保

高齢者の玄関リフォームでは、転倒防止が最優先事項です。
玄関アプローチの段差解消は必須で、スロープの設置や段差解消材の使用が有効です。
また、手すりの設置は、立ち上がりや歩行の補助となり、安全性を高めます。
玄関ドアは、開閉が容易な引き戸への変更も検討しましょう。
さらに、明るさを確保するため、センサーライトの設置もおすすめです。
車椅子利用を想定するなら、玄関の幅を広く確保する必要があります。
最低でも車椅子がスムーズに回転できるスペース（直径150cm程度）を確保しましょう。
靴の脱ぎ履きを楽にするためのベンチの設置も有効です。

快適性と安全性を両立した設計

水回りは、高齢者が転倒しやすい場所です。
浴室では、滑りにくい床材への変更、手すりの設置、そして浴槽への出入りを容易にする工夫が必要です。
段差の解消、シャワーチェアの設置も重要です。
トイレでは、手すりの設置に加え、便座の高さを上げることで、立ち座りの負担を軽減できます。
また、高齢者にとって使いやすい、ウォシュレット機能付きの便器への交換も検討しましょう。
洗面台は、かがまずに使える高さに設置し、収納スペースも十分に確保しましょう。
キッチンのリフォームでは、作業台の高さを調整し、腰への負担を軽減することが重要です。
また、コンロはIHクッキングヒーターへの交換がおすすめです。
収納スペースの確保も忘れずに行いましょう。

負担を軽減する動線設計

高齢者にとって、スムーズな家事動線は非常に重要です。
キッチン、浴室、トイレなど、頻繁に使用する場所を近くに配置することで、移動距離を短縮し、負担を軽減できます。
廊下は、車椅子での移動も考慮し、十分な幅（80cm以上）を確保しましょう。
また、照明を明るくし、手すりの設置も忘れずに行いましょう。
階段は、手すりの設置に加え、滑り止め加工を施すことが大切です。
可能な限り階段をなくす、もしくは昇降機の設置も検討しましょう。
寝室とトイレを近くに配置することで、夜間の移動による負担を軽減できます。

安らぎと安全を確保する空間

寝室は、高齢者が最も多くの時間を過ごす場所です。
ベッドからの立ち座りを容易にするため、手すりの設置は必須です。
また、転倒防止のために、床には滑りにくい素材を使用しましょう。
十分な照明を確保し、夜間のトイレ利用も考慮した設計にしましょう。
収納スペースを十分に確保することで、部屋を整理整頓し、安全な状態を保つことができます。
ベッドサイドにコンセントを配置することで、携帯電話や医療機器の充電が容易になります。

用途に合わせた最適な間取り

その他居室についても、高齢者の生活スタイルに合わせたリフォームが必要です。
趣味の部屋として使用する場合、十分なスペースと適切な設備を確保しましょう。
書斎や趣味の部屋を作る際は、十分な採光と換気を確保することが大切です。
来客用の部屋として使用する場合は、快適な空間となるよう、家具の配置や照明に配慮しましょう。
孫が遊びに来た時などに備えて、子供たちが安全に遊べるスペースを確保することも重要です。

高齢者向けの間取りリフォーム費用と助成金制度

リフォーム費用相場

リフォーム費用は、工事内容、規模、使用する材料などによって大きく異なります。
小規模なリフォーム（手すり設置など）では数十万円から、大規模なリフォーム（間取り変更など）では数百万円から数千万円かかる場合もあります。
見積もりを比較検討することが重要です。

高齢者住宅改修費用助成制度等の活用方法

高齢者住宅改修費用助成制度は、要介護認定を受けている高齢者とその家族を対象とした補助金制度です。
手すりの設置、段差の解消など、バリアフリー化のためのリフォーム費用の一部を補助してもらえます。
自治体によって制度の内容は異なるため、事前に確認が必要です。
その他にも、自治体独自の補助金制度がある場合があります。

費用を抑えるための工夫

費用を抑えるためには、既存の設備を有効活用したり、シンプルなデザインにしたりするなど、工夫が必要です。
不要なものは処分し、必要なものだけを新たに購入することで費用を抑えることができます。

まとめ

高齢者向けリフォームにおける間取りの工夫は、安全で快適な生活を送るために非常に重要です。
今回は、各部屋のリフォームポイント、費用相場、そして補助金制度について解説しました。
リフォームを検討する際には、高齢者の生活スタイルや身体状況を十分に考慮し、専門家と相談しながら、最適な間取りを計画することが大切です。